春期講習が始まっています。
新中1生は、
正の数・負の数を学んでいます。
数学では新しい数の概念を導入すると、新しい計算ができるようになります。
例えば、小学校低学年では、自然数を学びますが、これだと
1÷10の計算はできません。そこで小数を学ぶことで、
1÷10=0.1という計算ができるようになります。
ところが、小数だけでは
1÷3=0.333・・・となってしまいます。
そこで、分数を学ぶことで、
1÷3=1/3と簡単に表現することが可能になります。
小学校では
1-2は計算することができません。
中学に入り、負の数を学ぶことで、この計算ができるようになるのです。
また、中3では無理数を学びますが、それによって
X^2=2という二次方程式が解けるようになります。
さらに高2で虚数
i を学ぶことで、
X^2=-1という二次方程式が解けるようになるのです。
このように数学では、新しい数の概念を導入することによって、新しい計算ができる道具が手に入るのですね。
新しい概念ですから、最初は戸惑いがあって当然です。新中1生も今それに真正面から取り組んでいるところです。
(+2)+(-5)の計算をするための説明方法は色々あります。
数直線の
+2の位置から、負の方向へ(小さい方へ)
5移動するというのが正統的な指導法です。
ところがこれが中々イメージできない子がいます。
そこで、私は「
+チームと-チームの対戦結果を書こう」と指導しています。
「+チームが2点、-チームが5点、さぁどっちが何点勝った?」
野球などの点数差がわからない子はいませんので、すぐに「-チームが3点勝った」と答えてくれます。
そう、
(+2)+(-5)=-3ですね。
(-2)+(-5)であれば、-チームの連続得点ということになり、
-7が答えになることもすんなり理解してくれます。
さらに
(+1)+(-4)+(+5)+(-3)という計算を左から計算していくことは、
「+チームが1点取り、-チームが4点取って逆転し、その後+チームが5点取り再逆転し、-チームが最後に3点取り、サヨナラ勝ちした」
という風に、試合会場に自分がいて試合の流れに沿って一喜一憂しながら観戦しているのに等しいこと
ところが、スコアボードをみると
(+1)+(+5)で、+チームは合計
6点取ったこと
(-4)+(-3)で、-チームは合計
7点取ったことが表示されています。
すると
-チームが1点勝ったことがすぐにわかりますね。
これを式で表すと
(+1)+(-4)+(+5)+(-3)
=(+1)+(+5)+(-4)+(-3)={(+1)+(+5)}+{(-4)+(-3)}=(+6)+(-7)=-1と計算していることに気付かせます。
※ 正確には加法の交換法則、結合法則を使っていますが、
この段階ではまだその言葉を使いません。
こんな風に自分がすでに理解していることでも、初めてそれを学ぶ生徒にいかに分かりやすく説明するかと考え始めると、とても奥が深いものです。